14話 取り消す…なんて言わないでのネタバレ

ネタバレ

美桜が帰宅すると、部屋で隆秀がお経を呼んでいた。

お坊さんだなーと思う。

本を呼んでるだけじゃ、お坊さんがどんな人なのか、ぜんぜんわからない。

なにを考えているのか知りたいのに・・・

「なにしてるの?こっちきたら?」

突然声をかけられた。

「でもじゃまじゃ・・・」

「そんなことないよ。それとも、こわくなった?俺のこと」

美桜は、おとなしく隆秀のとなりに座った。

「昨日はごめん。その前も、気持ち全然考えないで。雪隆の前で、しろとか・・・」

「大丈夫だよ。気にしてない」

「うん。深谷なら、本当は悩んでても、そういうと思う。なあ、深谷。婚約ごっこ、終わりにしようか」

美桜は、呆気にとられて、声が出ない。

「身勝手すぎるって起こってもいいよ。当然だ。住職になる準備も整ってきたし。
しばらくは忙しさを理由に、見合いの話も断れる。
深谷はかわいいから、きっとふつうの生活の中で、俺より大切にしてくれる人がいると思う。
好きだって言ったことも、取り消す。俺のわがままにつきあわせて、ごめんな」

膝が痛い。

美桜は、正座している膝を、さすった。

「お。おわりにするのは、いい。もともとが、そういう、約束だったから・・・でも、なんでふつうとか、いうの。
なんで、九条くんが、ふつうじゃないみたいな言い方するの。なんで、取り消すとか、いうの」

胸。やっぱり、痛いのは胸だった。

美桜は、涙を目にためた。

「深谷。もう、ここにはいないほうがいい」

辛い。いたい。苦しい・・・・

確かに、将来を約束されたわけではない。

でも、好きだって言われたから。

もしかしてずっとここにいていいのかなって、勝手に思いこんでしまっていたのだ・・・

夜になっても、美桜は眠れなかった。

荷物をまとめないといけないのだろが、とりあえず。

美桜は隆秀の寝顔を見に行く。

いとおしい。

隆秀の顔にそっと口づける。

大好きだ。

ずっとずっと、大好きだった人なんだ・・・
 

僧侶と交わる色欲の夜に
【コミなび純稿】 僧侶と交わる色欲の夜に