18話 抱いて…一度でいいからのネタバレ

ネタバレ


なぜあおいが突然現れたのか。

隆秀は父親に事情をききに言った。

父親は、あおいの父親と最近話したという。

「縁談を蒸し返されたから、息子は彼女にふられたみたいで、しばらくは独り身でしょうなあって話を」

隆秀はこっそりとため息を落とした。

あおいの家も寺だ。寺生まれ、寺育ちだ。

仏教のことも、檀家のこともよくわかっている。

だから隆秀の相手としては、申し分ないのだろう。

現に今も・・・

「大井様と木内様。三宮様の代理で、親族の方がお見えです。お通ししますね」

テキパキと仕事をこなしてくれる。

「食のほうなんですけど、一食たりないみたいなので、私の分をまわしてください。念仏のときは本道へ参りますから大丈夫です」

彼女を家においたら、かなりの仕事を任せておけるだろう。

一段落ついたとき、あおいは隆秀に話した。

「檀家さんの奥様から言われました。みおちゃんは今日はいないのねって。隆秀さんにふられた方?それとも、逆なのかしら」

「家だけじゃなくて、個人的な事情にも干渉してくるんですか。越津って」

「実家は関係ありません。わたし個人の興味です。

一ヶ月間。一ヶ月で、あなたが私にひかれなかったら、あきらめます。

見合いになる前に立ち消えた話なら向こうだと思ってらっしゃるのでしょうけど、失恋にも結婚にも助走は必要なの。

彼女さんとわかれてから訪ねてきた私の誠意を知ってください」

あおいはそのまま隆秀の首に両腕をからませた。

唇をかさねる。

隆秀は身動きがとれなかった。

苦しかった。

美桜が恋しかった。

でも、本当のことが言えなかったのは自分だ。

一度本当のことを言えなかったから、そのあとは嘘を重ねてしまって、気づいたらこんな状況になってしまったのだ。

これが因果なのだろうか。

よい行いをすれば、よい結果に。

悪い行いをすれば、悪い結果に。

でも、嘘をつかなければよかったとも、思わない・・・

美桜は一人で月をみている。

隆秀のことを思いながら。

隆秀は、あおいの肉体を受けとめながら、やはり月をみている。

美桜のことを思いながら。

二人の心はまだ堅く結ばれたままだ・・・
 

僧侶と交わる色欲の夜に
【コミなび純稿】 僧侶と交わる色欲の夜に