27話 俺だけを見ててほしい…妬くから。のネタバレ

ネタバレ

「隠れて。俺がいいって言うまで、隠れてて。雪隆が帰ってきてる」

それだけ言って、隆秀は何食わぬ顔で部屋を出た。

「兄貴、俺の冬用の作務衣どこか知らない?」

「知らない・・・いいからお前ちょっと来い」

「何で外? 寒いんですけどー?」

「うるさい。どういうつもりだ?」

隆秀はきつく問いただした。

「何が?」

「何がじゃない。こんな時間に戻ってきて」

「自分の家に帰るのに、時間なんて関係あるの?」

「そうじゃなくて。家を出るときに何て言ったか、自分で覚えてるか?」

「覚えてるよ。だから、父さんと、母さんには、ちゃんと話すつもり。俺、しばらく家に戻るつもり」

「俺には?」

「話す!! この時間じゃなきゃおつとめに間に合わないから、帰ってきただけ!!!」

雪隆は叫ぶように宣言した。

隆秀は美桜に電話で報告した。

「俺、しばらく家に戻ることにしたから。教授が退院するまでの間、大学での仕事がなくなるから、うちを手伝おうと思っただけ・・・と本人は言ってる」

美桜は静かに納得した。

「忙しいときは呼んでね」

隆秀は黙っている。

「九条くん?」

「・・・加減が分からない」

「何の?」

「どこまで言っていいか」

「??」

「あまりというか、できれば、なるべく、その・・・雪隆とは会って欲しくない。妬くから」

「・・・!!!!」

隆秀の素直な言葉に、美桜は息を呑んだ。

「黙らないで」

「ごめん」

美桜はうれしくなってニヤニヤしてきた。

「自分からは行かないね、無神経だった。ごめん」

あわてて電話を切って、美桜は一人で笑い続けた。

(いかん。ニヤけてる場合ではない。しかしあの九条君が、ヤキモチを・・・ヤキモチを・・・!!!!

雪隆君のことは、九条君に任せよう。ご両親がどう思っているかも大事だし、本人の希望も・・・

私にできるのは、迷惑をかけない。心配をかけない。

子供かとつっこみたくなるけど、私の位置からはこれが精一杯。余計なことは何もできない)

そしてとにかく早く卒業をしようと、決意を新たにした。

卒業したらうちにおいで、と言われているのだ。

早く卒論を仕上げて、卒業の資格を取ることが、自分にできる一番いいことだろうと思う。

そのころ九条家では、雪隆と家族との話し合いが始まろうとしていた。
 

僧侶と交わる色欲の夜に
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【コミなび純稿】 僧侶と交わる色欲の夜に